詩「かえれない国」


終わらない夢をみていた
遠く離れた空 みえない
みえなくしてくれたのは、君だったよね
お天気にしたら嘘になると
灰色のヴェールをかけてくれたのはきみだったよね
そんな君が、透明になるなんて、ずるいと思う

虹色の光線を殺して旅に出たあと
もう帰れなくていいと言ったのは君だったのに
もうぼくは、どこにだって帰れないのに
みじめな人形に光を灯した先生は
うすももいろの砂丘で笑っている
うしろゆびを指した最低な怪獣も
光らなかった丘も
なにひとつ、いらないものなどないはずだった

かわいそうな生き物たちの行進をゆるすのは誰
泣き叫ぶ鳥
魔女の死骸とほほえむ雪
「つめたい名の付く子は不幸になるらしい」
西の国で誰かがいった

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