とりとめのない Lへの
汽笛のおとが ぼんやりと聴こえる
わたしとLは ほぼ 何年かぶりに再会を果たしていて
でも ずっと一緒にいたふうふのような
穏やかで、こころが溶けあっているような
きもちがしていた。
まばたきを、ゆっくりとして
両のまぶたが、ひきあって
そして
離れるまでの 時間が
ひどく
ながい。
まるで 時間がとまる寸前みたいな
ときの流れがゆっくりになったような、気がした。
「……える わたしは、なにか まちがってしまったような気がするの」
「……藪から棒に」
いつものこわがりですか、とLはわらう。
そういう感じで、ずっと微笑んでいてほしいと思った
その不確かで、ずるくて曖昧な
ふれることすらためらわれるくらいの純粋無欠さで、わたしを酔わせてほしいとおもった。
夢ならば、さめないで
どうか
ゆめならば、さめないで…………
「L……」
遠くにみえる、ふねたちが、ゆらゆらと揺れていた。
まるく光るお月さまを
すうすうと映す水辺のとうめいさが、わたしたちの心を 安定させたものにしていた。
もしくは、Lの存在が。
……わたしのこころを。
となりの背中によりかかれば、
ぼやぼやした温度が いやおうなしにわたしをあたためて。
涙が こぼれそうなくらい。いや、こぼれて
つたって
頬を。
口がゆがんで いま なにかを喋ったら
ぐちゃぐちゃになっちゃうくらい
顔も きっとひどいんだろうなって。
ゆるされるなら、このまま あなたの胸に顔をうずめて、わんわん泣いてしまいたかった。
吐き出して、想いも、くるしい
死にたいってきもちも、もうだめですという
弱い、ゆるされたいという きもちも
なにもかも。
夕やけがとけだして 深い夜がやってくる前の今、このときだけなら
ゆるされてしまいたかった。
「……なにが悲しいのか わからない」
「………?」
「そんな顔をしてます あなた。」
くつ と笑って、わたしは 憑き物が落ちたようにほろりとする。
この人の前でだけなら わたしは、わたしでいられるきがした。
よかった。
Lに 出会えて、よかった。
いつか死んでしまうとしても、わたしの夢のなかで生き続けるのなら
わたしは
Lに出会って、わかれて、そして、
また出会えて
よかった
よかった とおもった。
ありがとう L。
ありがとう ありがとう
ありがと
L
とりとめもない
いつだって、よりかかりたくなる
いつまでも いとしい人
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