DIO/ディオ おはなし 01

宇宙のかいだん



浮かないように、てすりとDIOのうでをつかむ。
ぼくらはゆっくりと地球に還っている。

音がうまれないこの宇宙くうかんのなかで、ぼくらは鉄の階段をいちだんいちだんゆっくり降りる。

うっかりDIOの手をはなしたら、たぶんぼくはもう二度と彼に会えないだろう。

きらきら、太陽に照らされた星たちがぼくらをかこんで柔らかくわらっている。
ほんとはなにを考えてるかわからないこの宇宙と、この男がぼくはこわい。

「あとどれくらいかかるだろうな」

いじわるにDIOはほほえむ。その答えはもうとっくに、とっくに出ていることは地球が自転をやめないことくらいに明快なことなのに。

「……もう、いちねんは歩いたかな」
「おまえ、まだ時間のかんかくがあるんだな」

ばかにするなよ、と右腕を少しつよくひっぱると、彼は左の腕でぼくを払いのける
体がふわりと浮かんで、ヒヤリとしたと思ったら、ぼくたちは両手で手をにぎりあっていた。
ふたりでふわふわと宇宙に浮かんでしまう。だんだんと、地球と月をつなぐ階段が小さくなる。

「あーあ。どうするんだよ。もう、還れないぞ」
「いやか?」

いやじゃないのも、多分こいつはわかってる。
何年前のかわからないビスケットをポケットからとりだして、目の前でくだいた。

「性格わるい」
「ほんとうのことをいえよ」
「いやだね」

そうしたら、たぶん二度とぼくらは元に戻れないんだろう?
ぼくは、お前みたいによわくなりたくないから、ばれないようにする。
この想いは、ずっと、地球に還るまでぼくのものであればいい。

だって、あと何年何百年かかるかわからないこの旅路をぼくらは抜け出すことで、僕たちはきっと、ひとつになれる気がするから。
でしょう?




こんばんは、妙子です。
ひさしぶりにおはなしをかきました。

宇宙を旅するDIOとディオのおはなし
でした。

月から、地球に還る。

はてしなく長く、なん年何十年かかるかわからない階段をつかってふたりはかえります。

それは、なにを意味するのか。
なぜ、地球でうまれたのに、還ると表現するのか。

なぜ、ふたりは途中で還ることをやめたのか。そもそもDIOとディオとはなんなのか。どうして過去の自分と現在の自分が交錯しているのか。

おたのしみいただけたのなら、幸いです。
また気が向いたらかきたいと思っています。

最近、YUKIさんと宮沢賢治さんがすきです。


妙子

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