ジ・エンド
新しい人と別れて、多分三ヶ月も付き合っていなかった。もとから好きになれなかった。でも安心感だけはあったから、一緒にいた。思い通りになる人が欲しかったから。
でも付き合うと段々不安が増えた。心配してなかったはずなのに心変わりされるかもと不安になりだした。別にそんなことはなかったのに。思い通りになりそうな人と見下して、いざ付き合って少しでも意に反することをされるとめちゃくちゃ腹が立った。あらためてひどい人間だなと思う。
花火、いちご、カフェ、カフェ、カフェ、温泉とホテル。行くところがないことが虚しかった。付き合う前は男らしく見えたのに付き合ってしまうとただのなよなよした男に見えた。段々冷めてきていた。相手のことを気持ち悪いと思い出していた。
もうそう思ったら無理とわかっていたから、仕事が本格化する前に振ろうと思った。自分勝手だけどもう気持ちは変わらないし、身軽な身体でスタートを切りたかった。結果は失敗で、ただ突然別れムーブをして傷つけただけだった。そのときそのとき私は必死で、相手も必死に止めていた。でもずっと別れなければ、という圧力が絶え間なくて、それに抗えなかった。
いつものように流されて、わたしは学ばない。今は別れなくていいのかもしれない、なんて思いこんで、花火とかいちご狩りに行った。このときは好きと思い始めていた。こんなに幸せでいいのだろうか、と少し思って、この人になら心を開けるのかもしれないと思った。
でも相手としては一度振られているわけで、私に対する不信感とか不安とかすごかったと思う。それを棚に上げてよくのうのうと、過ごしてたなと思うと、恥ずかしくて、申し訳なくて、いたたまれない。
全部わたしが悪かった。寂しいからと告白を受けて、でもこうなることがわかってたのに。いたずらに人を傷つけて、最低だった。今楽しければいい あとで考えればいい そんな軽い気持ちだった。
インスタで他の女をフォローしてたっていうただそれだけでめちゃくちゃ不安になって、当てつけだって思い込んで、勝手に別れを告げてインスタもLINEも全部ブロックしてしまった。
すぐに知らない番号から何度も電話があって、着信拒否しても入ってて、留守電から彼だとわかった。番号教えてないのになぜ?と怖かった。ストーカーまがいのことをされて、お願いしますと入っていたのがまた惨めで、申し訳なくも思ったけれど、もう何も変わらないと思った。別れをもう一回決断してたと思う。
いろいろ話したけど、色々弁解されたけど、片方が気持ちがなくなったらもう恋愛は終わりで、何度も追い縋るのはやめたほうがいい。
でも最後会ってしまったのはなんでだろう。
どうしたらいいのかな って彼がいうから、別れたらいいんだよって答えた。バカみたいに苦しいのに声に出すとやけに愉しげに聞こえた。
もう無理だよ もう戻れないよ、ってそれは心からの言葉だった。こんなに苦しいのに、別れてくれないなんてこの人はどうして自分勝手なんだろうと苦しい。私も同じことしてるくせに。
あなたといるから私は苦しいのだった 近づいたと思ったのに近すぎると怖くなるのだった
でもこの人になら心を開けるのかもしれないと思ったのは本当で、それは何にも変え難いほどありがたいことだった。
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