みじめな5番めの詐病
泣きたくなることはありますか
すべすべの手 が手に入らなくなった数年前から、本来の理想だったキューティクルが内側から剥げていたんだと思う。
なのに一段一段が夢を閉じ込めたレコードのように、全て狂おしく愛おしかった。それを悪いことだと思えなかった弱さが、まだ私を縛っていた。
もう泣きたくなることはない。いつもこれを繰り返してる。一年くらいの感覚で、わたしは完全に忘れました、と思ってる。半年後には息ができないくらい眼球が収縮して、血眼で息を震わせて愛に号泣している。そんな馬鹿な女の馬鹿な絵日記。
2063年には古びた骨と皮になるのに、今ある美しさを維持させようとしている。軽やかな花弁は唖然とするほど見るも無惨になるのに。夢をあきらめないでいる。ただその様にあろうとした、Lと書いてある詐病が、石の階段になって私に降り注ぐ。もう諦めなさいと言われてるのに、まだ生きてるからって前に進もうとする。
クッキー缶の上から3番目が虫穴だった。その歪みから生まれる全てをわたしは理解していたのに。5番目としか交換できなかったんだ。お金に困っていたから。いつも左手で受け取る、そのことにハンプティ・ダンプティは憤ったと思う。涼しげな朝靄とその中で生きる緑茶色の空気で生かされていた。もう早く死ねば良かったと背中に刺青がされる。そのことを嬉しいと思う。四年前の悲劇をいつまで経っても美化するように、その気持ち悪さが青虫になって断罪していた。
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