さかなをころした日



いきなり思い出した、小学生のころのわたし。

小学校4年生のわたしは今よりずっとわくわくしていて、だいたいずっと何かをつくったり、川で遊んだりひみつきちを作ったりしていた。

それはいつものなにげない日
わたしは友だちといっしょに、いつもの河原にきていた。

そうして遊んでいて、いきなりさかながとりたくなって、友だちにわけを話した。

メダカがほしかったのだ。友だちがもつ、どうどうとした水槽で、ゆらりふわりと頼りなさげに、しっかりとかがやく そのさかなが。

わたしは思い立って のみほしたペットボトルの蓋をあけ、そこに水を入れた。
さかなはあっけなく捕まり、とぽんと1ぴき、
空のペットボトルにいれられた。

目的をはたしたわたしは、そのまま仲間とたわむれに遊びだし
また明日のチャイムがなるころ、ようやく思い出して、手にいれたお宝のようなさかなをのぞきこんだ。

しんでいた。
ぷかりと、すやすやとしずかに、さかなは腹を上に向けて、ただ死んでいた


ヒュッ、と
喉のおくで音がなるのがきこえた

わたしはとたん、真っ青になり、その容器をベンチのうえに置き去りにしたまま、河原を一目散にあとにして、無我夢中で逃げた。

チャリを押すさかみち、うしろをふりかえるとやはりまだ、さかなはベンチにしんでいて、あぁ呪われる、と泣きべそをかきながらおもった


あのときあの瞬間、
わたしはさかなをころしたのだった

何気なく、なんの気もなしに、たやすく命をうばっていったわたしは、あのときたしかに、小学4年生だったのだ。



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