日記


 愛情は寝かせればいいって思った。たとえこれが絶対やめないといけなくて、最悪なことだとしても。
 今日告白された。ちゃんとしたのってこれが初めてで、よろしくお願いしますっていいながら漫画でみたシーンだ、と思った。頭の中はいやに冷静で、でも手が震えてた。手が震えてる、といったら、相手も手が震えてる、といった。

 良い店だった。シックな感じに似つかわしくない店員の若さもよかった。名札が手書きで、若さ特有のあのぶっきらぼうで、でも親しみのある接客。肉が派手に焼かれる。
 わたしもそうさせるように誘導してたのかもしれない。友達でもなんでも、わたしは自分に引き込むような手段を無意識にとってた。いつも。味方になってほしかったんだ。

 席に着く。家にいる親のことを考える。やっぱり人と一対一で向き合うというのは恥ずかしすぎて怖すぎて、目線が泳いだ。おしぼりの袋を開けたり開けなかったりして、メニューもよく見ていなかった。その人が好きかといわれれば、普通だった。
 照れ屋の女の子、のように映ってたのかもしれない。彼がこんな人いない、といった。わたしに、こんな人いないと。特別にしてくれたことが嬉しかった。こうやってわたしは誰かの特別になって、そして傷つけてきたんだと思った。

0コメント

  • 1000 / 1000