2024.01.23 02:13HEAVENLY TWINS 紹介一次創作HEAVENLY TWINS(ヘヴンリーツインズ)まるで夢みたいだと思う。夢のような世界なのに、ここはひどくしずかだ。なにかおそろしいものたちが全員なかよくピッタリと、息をひそめているような清潔さがしていた。大人になると、どこかへ連れさられる国でくらす。週3で隕...
2022.08.08 23:22日記 愛情は寝かせればいいって思った。たとえこれが絶対やめないといけなくて、最悪なことだとしても。 今日告白された。ちゃんとしたのってこれが初めてで、よろしくお願いしますっていいながら漫画でみたシーンだ、と思った。頭の中はいやに冷静で、でも手が震えてた。手が震えてる、といったら、相手...
2022.08.07 12:58花のうたをうたおう それがよいとか悪いとかではなくて。ゆきちゃんの唄が流れる。Terminalの9番目。それが、良いとか悪いとかではなくて。反芻する。昔のことを思い出してみる。わたしにとっての昔は、もう1ヶ月2ヶ月前のことになってしまった。 たとえば猛烈な一目惚れをしたとき。あれは、1年と6ヶ月前...
2022.02.02 17:41喧騒の冬 いつだってないものを欲しがった。失った自分を探し求めるから欲しがるなんて、嘘だと思う。それが好きとか愛してるとかって、じゃあ自分なしには生まれなかったことになる。それはそう。 満月が怖くなったのはいつから。光るものが、自分とはいつからか思えなくなっていた。輝くそれを自分の故郷に...
2021.08.31 12:08ゆるしてと燦々 さざめく夜路の端で生きた、ひつじがひとつ鳴く。うれしいような淋しいような、音を立てぬ夜。空気はぴんと張り、けれどなんら居心地の悪さはなく、それぞれがそれぞれを生きるせいせいと孤立した夜。 個々が自由に想うことで空は蒼く澄む。近かった空は望郷に広がる。目に見えないものたちがはらは...
2021.02.02 17:05短編「せいけつな罠」 晴れたある日のはらっぱは、これまでいちどもひどい目にあったことはありませんと言うような顔をしている。 一歩足を踏みだせば、蝶がかろやかに舞い、色とりどりの花はほほえみを返した。みつばちも、せっせとはたらくアリさえ、ここでは豪華絢爛の宮殿の踊り子にみえた。&n...
2021.01.16 14:51とんで、人魚包帯のこしてのこった傷跡だけが人の形をしていたあかるくきれいなそこは水飛沫をあげて軽やかに跳ねていてわたしは引き下がるどうしても、見てはいけないものみたいで氷の結晶割れたレンズに遠くの山をうつしてなげくあかるかったころの傷跡をなでているもう帰れなかった家の呼び鈴を鳴らしてひとり、...
2021.01.04 10:16途中下車でも愛して 夕焼けの街。足を踏み入れたことのないそこは誰かによって導かれ、また想い出を引き起こすための材料になりました。 わたしは想い出によって生かされたり殺されたりするので、もう暮らしの中にそれを感じる場所を作らないでおこうと思いました。海みたいな川を見ながらまど・みちおさんの「どうして...
2020.06.21 11:56くらい日 ぼんやりと鳥の羽のもげる音がして、落とした視線の先には、のしちの文字がある。真んなかの「し」だけ太字でなぞられたように見えた。「くらい日」 暗かった。すべてが藍色のバケツをひっくりかえされたようだった。心はあたりまえのように静けさを纏い、頑としてほかを受けい...