きょうの日はさようなら



イチョウの木は折れやすい。

さむざむしい空にぽつんと取り残されているさみしいイチョウの木を、わたしはいつも見ていた。

ふれるかふれないかのギリギリのところで
はらりと散っては舞う、彼のはっぱはあまりにも美しかった。

近づいて、よじのぼって、いっそのこと一体化してしまえたのなら
できたのなら、と変わらない日々のなかでそう憂いて

水の世界につつまれて、なにもできなくなったら
重力をこえて彼と一体になれるだろうかと、
そんなやさしい幻想のなかで 安堵した。

確実なうそで包まれるとき、わたしはしっとりとした絶望と変わらない日々に身を寄せ
「あぁ よかった」と思う。

星座占いが12位でよかったと思う。明日に希望をもてるからよかったと思う。きょうの日はがんばらなくていいと、勝手に納得できるから

好きだった

ゆるい不安のなかでたゆたうのが、
わたしは好きだったのだ。

そんな自己嫌悪をくりかえしては、布団のなかで踊った。
あからさまな夢をみて、死ぬようにわらった。
涙もまた、明らかな血の色をしていた。

心にがちゃんと南京錠がかかって
もう二度とあけられないというような
わたしでさえ
そんなわたしを
だれかとめてほしいと、泣いた。



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